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私たちについて About us

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アジア女性舞台芸術会議実行委員会は、1980年代に故如月小春(劇作家、演出家)、故岸田理生(劇作家、演出家)が始動させた「アジア女性演劇会議」の活動に影響を受け、2012年末、羊屋白玉(劇作家、演出家、俳優)と矢内原美邦(振付家、劇作家、演出家)による声がけで集まったコレクティブです。

アジア諸国のアーティスト、プロデューサー、翻訳家、研究者、映画監督など舞台芸術に関わるメンバーを中心に、さまざまな分野やセクターの人々を巻き込み、対話や交流を重ねながら、作品づくりやネットワーク形成を行います。

多種多様な民族・社会・言語・文化・歴史をもつアジアで、女性の声やさまざまなものの声を拾い集め、世界を映し出す鏡である舞台芸術を手段として、社会に発信していきます。

国内外にメンバーやパートナーの輪を広げ、心が通い合い助け合える関係を築き、みんながお互いを尊重しながら暮らせる多文化共生社会の実現に貢献します。

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代表の挨拶

「アジア女性演劇会議をいっしょにやりませんか? アジアも、女性も、演劇も、みっつともマイナーで、なんだか面白いでしょ?」と、今は亡き如月小春さんがわたしに言ったのは、2000年の春でした。そして、小春さんは、この年の冬に亡くなりました。3年後、岸田理生さんも亡くなりました。

わたしは、「はい。やります。」と応えたのに、ご存命中に約束は果たせませんでした。それから、10年以上たって、矢内原美邦さんにこの話をした後に「また始めようか。」と、ふたりで言い合ったのです。

というわけで、みなさんはじめまして。アジア女性舞台芸術会議、通称、亜女会。英語では、Asian Women Performing Arts Collectiveです。どうぞよろしくおねがいします。

さて、小春さんの言った「マイナーだからおもしろい。」ですが、マイナーとは、重要性や地位が、二次的、二流である。という意味なので、アジアも、女性も、演劇も二番手な存在ということになります。そして、それは現在も尚、事実です。わたしがこのことについて考えて来たことを言いますと、人が集まれば優劣をつけたくなるのが人の世で、二番があるから一番がある。それに、長い歴史のなかでは、アジアも権力や富貴を究めた時代もありましたし、古代のギリシャでは政治も宗教も演劇も同じ土俵に乗っていた時代もありました。プラトンの「饗宴」のなかでは神が恐れる程の存在としてアンドロギュヌスという第三の性も登場します。

たった数千年のこの趨勢、二次的なものたちの生き方や考え方を、憂うことなく表明してゆきたい。そのひとつに、わたしは成り行き上、亜女会の代表のひとりですが、強いリーダーとして引っ張ってゆくというやり方はしません。でもそれは世の中では主流じゃないので、周りの主流と対峙してゆくと、そのうち倒れるかもしれない。でも世界の何処かでは、すでに萌芽してるかもしれない。いや、案外近所で咲いてるかもしれない。そして日本を含めたアジアの女性の舞台芸術家はどう思うだろうか?

それを知る為に、話し合う為に、そこからなにかをつくる為に、そして世間に投げ出し、反省をする為に、彼女達に会いに行きはじめています。歴史の蓄積を踏まえるために勉強会を開いています。

二十一世紀がほんとうに必要としているのは、文化も芸術も経済も食糧も都市計画も、たくさん生産してたくさん消費するものではなく、過去における正の業績や負の遺産を、分解し解体し、未来の珠玉へと再生産すること。アジアと女性と舞台芸術には、その可能性が十分あると思っています。だから、小春さんも「マイナーだからおもしろい。」と、言ったんじゃないかな。

遊びたいと思います。アジアと女性と舞台芸術のからだをつかって。

羊屋白玉

女性差別なんてうけたことがないと言う人は結構周りに沢山いる。それでも世界中、どこでも、もちろん、日本だって、男性中心社会だったりする。女子たるものこうあるべき!みたいな考え方は今でも勿論根強く残っている。平面的な統一性、文化の均一性、共有する価値観の単純化は、あたかもそれが自分自身で選択したかのようにどんどん進んでゆく。けれど価値の多様化こそが社会を面白くすると思う。アジア女性舞台芸術会議(亜女会・アジョカイ)を女子のみんなで “会” をやってゆくことによって多様な価値観をうみだし、皆さんと共有してゆきたいと思っています。

矢内原美邦

構成員

代表

羊屋白玉(Shirotama Hitsujiya)
1967年北海道生まれ。「指輪ホテル」芸術監督。劇作家、演出家、俳優。06年、ニューズウィーク日本誌において「世界が認めた日本人女性100人」に選ばれる。近年は、国内外の芸術祭にて、海や列車やトンネルなど、劇場を飛び出し、サイトスペシフィックな環境で演劇作品を発表している。そのかたわら、14年より、東京に立ち戻り、アーツカウンシル東京主催のアートプロジェクト「東京スープとブランケット紀行」を展開している。www.yubiwahotel.com

矢内原美邦(Mikuni Yanaihara)
ダンスカンパニーニブロール主宰。国内外のフェスティバルなどに招聘される。劇作・演出も手がけ第56回岸田國士戯曲賞受賞。off-Nibroll名義で美術作品の制作も行い上海ビエンナーレ、大原美術館、森美術館などの展覧会参加。ダンス.演劇、美術の領域を行き交いながら作品制作を行う。日本ダンスフォーラム大賞、ラオコン(略)賞、横浜市文化芸術奨励賞受賞。近畿大学舞台芸術学科准教授。http://www.nibroll.com

メンバー(アルファベット順)

阿南順子 (Nobuko Anan)
ロンドン大学バークベック・カレッジ専任講師。カリフォルニア大学ロサンゼルス校で博士号取得(演劇、パフォーマンス・スタディーズ)。主に現代日本のパフォーマンスやビジュアル・アーツをジェンダー、セクシュアリティ理論の観点から研究。TDR, Theatre Research International, Journal of Popular Culture、その他の学術誌に論文を発表。近著にContemporary Japanese Women’s Theatre and Visual Arts: Performing Girls’ Aesthetics (Palgrave出版)。 主な招聘発表・講演を、大英博物館、テート・モダン、ジャパン・ソサエティーなどで行う。

安藤朋子 (Tomoko Ando)
アクター/ARICA所属。岐阜県出身。 1977年〜1988年太田省吾主宰の劇団転形劇場在籍、その間太田作・演出の全作品に出演。代表作に「水の駅」「↑」など、海外公演も多数。解散後も太田とともに活動を続け、ヨーロッパやアジアの俳優との国際プロジェクトにも参画。2001年演出家藤田康城、詩人倉石信乃らとシアターカンパニーARICAを設立、美術家、音楽家、デザイナーなどいろんな分野のスペシャリスト9人がコアとなるユニークなグループ編成。作品ごとにダンサーや俳優や音楽家などをゲストに迎え、毎年実験的な新作に挑んでいる。「KIOSK」「恋は闇」「しあわせな日々」など、これまでのARICA全作品に出演、世界を駆け巡る。2005年カイロ国際実験演劇祭にて、「Parachute Woman」でベスト・ソロパフォーマンス賞を受賞。ここ数年インドの演劇人との交流も深めている。

エグリントンみか(Mika Eglinton)
演劇研究者、批評家、翻訳家、ドラマターグ。専門はシェイクスピアを焦点とする初期近代と現代の二大英国「ルネッサンス」演劇、日本・英語圏・「アジア」の比較演劇。神戸市外国語大学英米学科准教授として教鞭をとる傍ら、F/T、Kyoto Experiment、PARASOPHIA、静岡舞台芸術センターなどから依頼され、舞台芸術、映像・映画、現代美術と広範にわたる視聴覚芸術を中心に、日本語と英語のメディアにて批評・翻訳活動を展開している。英字新聞The Japan Times, Culture/Stageのレギュラーライター。アジアン・シェイクスピア・インターカルチュラル・アーカイブ(A|S|I|A)主要運営メンバー、芸術公社Scene/Asia共同リサーチャー。 主な受賞歴:2016年国際共同研究加速金、2016年福原賞、2010年文化庁新進芸術家海外研修員など。

加藤ちか(Chika Kato)
多摩美術大学絵画科日本画科卒。在学中より、劇団第三エロチカにスタッフとして参加。8年在団後、フリーの舞台美術家に。舞台美術家、朝倉摂氏に師事。1999年、劇団燐光群坂手洋二作演出「天皇と接吻」「トウキョー裁判、1999」で読売演劇大賞最優秀スタッフ賞受賞。主な作品に、第三エロチカ川村毅作・演出「マクベスと言う名の男」、劇団燐光群坂手洋二作演出「神々の国の首都」ワールドツアー、ノダマップ野田秀樹作演出「走れメルス」、大竹しのぶ一人芝居野田秀樹作演出「売り言葉」、歌舞伎座公演渡辺えり作演出「新番、舌切り雀」、韓国芸術の殿堂公演キムシュウ作、シンサンオク演出「誰かために鐘はなる」、新国立劇場公演鵜山仁演出「オットーと言う名の男」、NHK50周年記念「おかあさんといっしょ」、劇団EXILE公演「レッドクリフー戦」等。現在は一般社団法人壁なき演劇センター、アジア女性舞台芸術会議実行委員会に在籍し、国内外で舞台芸術活動を展開する。

前田愛実(Manami Maeda)
劇評ライター・ダンス企画おやつテーブル主宰。英国ランカスター大学演劇学部修士課程修了。早稲田大学演劇博物館助手、故・太田省吾氏、坂手洋二氏の演出助手を経たのち、ライターとして、現代演劇・コンテンポラリーダンスについて、雑誌『Studio Voice』や『ユリイカ』、『美術手帖』、ウェブマガジン『CINRA』などに寄稿する。ダンス企画おやつテーブルでは演出・振付けを担当。

大塚千枝(Chie Otsuka)
ニューヨーク州ジャパンソサエティ舞台公演部にて文化庁新進芸術家在外研修を経て、京都造形芸術大学舞台芸術研究センターで事業制作を担当。その後、鳥の劇場(鳥取市)、こども未来ネットワーク(境港市)、まつもと市民芸術館(松本市)、鼓童文化財団(佐渡市)等の公共劇場やアートNPOで制作業務を担い、地域社会と関わる舞台芸術活動を行ってきた。具体的には、作品づくり、調査研究、シンポジウム、講演会、国際事業、フェスティバルなど。フリーランスで、舞台芸術やイベントの企画制作、海外招聘業務、ファンドレジングなどを行ってきた。2015年4月よりアジア女性舞台芸術会議実行委員会に参加。

杉田協士(Kyoshi Sugita)
1977年、東京生まれ。映画監督。長編デビュー作『ひとつの歌』が、第 24 回東京国際映画祭にて上映され、その後各地の劇場にて公開(boid 配給)。歌人の枡野浩一氏との共著『歌 ロングロングショートソングロング』に写真家として参加。文芸誌「すばる」に小説『河の恋人』、『ひとつの歌』が掲載。また、『金子の半生』(ハイバイ)、『浴槽船』(FUKAIPRODUCE羽衣)、『洪水/指輪ホテルドキュメンタリー』(指輪ホテル)など、演劇と関わる映像作品も多数制作。現在、『反対になった電池が光らない理由だなんて思えなかった』をはじめ、短歌を原作にした4本の映画を制作中。立教大学在学時、如月小春氏による中高生を対象とした演劇ワークショップに学生スタッフとして関わり、そこでの経験をベースにした映画ワークショップを各地で行う。立教大学現代心理学部映像身体学科、神奈川県立相模原青陵高等学校、および世田谷美術館美術大学プログラム非常勤講師。

高井浩子 (Hiroko Takai)
東京生まれ。脚本家。 演出家。劇団青年団を経て1995年に劇団「東京タンバリン」旗揚げ。以降全ての脚本、演出。劇団活動の他に、広島や札幌などでの創作や、ENBUゼミナールの講師。映画監督の本広克行氏と組んでの舞台 Fabrica 3部作(2007 ~2008年)では脚本を担当。柴咲コウ主演映画「食堂かたつむり」、ドラマ、ラジオの脚本など。

常田景子(Keiko Tsuneda)
神奈川県生まれ。東京大学文学部心理学科卒。夢の遊眠社、木山事務所、NOISEなどで俳優として活動後、東京渋谷パルコ劇場で舞台制作を経て、フリーランスの翻訳家となる。初翻訳上演作品は、1993年パルコ劇場公演、宮本亜門演出、『滅びかけた人類、その愛の本質とは…』。主な上演作品は、『ピアフ』、『黄昏にロマンス』、『ヒストリーボーイズ』、『負傷者16人』、『太陽に灼かれて』、『姉妹たちの庭で』、『グレンギャリー・グレン・ロス』、『やけたトタン屋根の上の猫』、『シカゴ』、『6週間のダンスレッスン』、『ペテン師と詐欺師』、『奇跡の人』、『伝説の女優』、『デモクラシー』など。翻訳書に「リディキュラス!」、「戯曲の読み方」、「現代戯曲の設計」などがある。2001年、第8回湯浅芳子賞(翻訳・脚色部門)受賞。